眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

ザ・コンサルタント ★★★★★

監督 ギャヴィン・オコナー/2016/米/

数字に関して天才的な能力を発揮し、裏世界の資金洗浄などに加担しつつも、命を取られることなく仕事を続けている凄腕の会計士、クリスチャン・ウルフ。正体を探る者の目を逃れるために、リビング・ロボ社からの真っ当な仕事を請け負うことになるが…。

映画の内容を誤解させる、最低な予告編。

ウルフの話と、財務省と、警備会社と称する殺し屋組織の話とかがなかなか一つにまとまらない、はぐらかすような展開。しかもウルフが高次の自閉症を(ある程度)克服したという設定や、リビング・ロボの帳簿の不正を見つけたデイナの、数字に理解があり芸術家肌でまっすぐな性格から加味される、微妙なユーモアが随所に散りばめられる。スリリングな物語を丁寧に語りながらも、笑いにも繋がる視線の外し方が見事。放置したままの死体は、きっと特別なチームがきれいに片付けるのだろうと思う時、例えば「ジョン・ウィック」にも似た、独自のルールが存在する世界の物語に思える。はまるべきところにはめられるパズルの如き遊戯性は、不思議な虚構感で構築された箱庭のようである。ビル・ドゥビュークのオリジナリティあふれる脚本、それをここまで面白い映画に仕上げたギャヴィン・オコナー、双方の才能に嘆息。