眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

見ざる聞かざる目撃者 ★★★

監督 アーサー・ヒラー/1989/アメリカ/NETFLIX

目が見えないデイブは、耳の聞こえないウォーリーを店で雇うことに。ところが店で殺人事件が発生し、あろうことか二人が容疑者として逮捕されてしまった。このままでは刑務所行きとなる。警察署を逃げ出した二人は、あれやこれやの末に、犯人を捕まえようと決意する。

社会的に正義の側に立とうとする自分の偽善を燻りだすような設定で、身障者を笑い者にしていると言えば確かにそうなので、これで笑っていいのか微妙な気持ちにさせられるところが面白味。笑いのベースは身障者ネタとなるので、どうしても不謹慎になりがちだが、あれこれと笑いを繰り出す姿勢は果敢で挑戦的。しかし、身障者であることを悟られまいとして、ハンディを見せないようにしている二人の姿などは、笑わせながらもその奥に現実の切実さを感じさせ、自分の生活を顧みさせる。そんな二人が打ち解けて、アイスクリームのコーンを頭に乗っけられたり、ゴミ収集船にパトカーで突っ込んだりしながら、かけがえのない存在として友情を育んでいく様子には胸熱くさせるものがある。犯罪者のボスが実は…というラストは、そこまで描かれてきたコメディとは違う異様な空気感を孕んで、妙な緊迫感があった。