眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

主に泣いてます(4)/東村アキコ(講談社)


海月姫』は、人間関係がどう結ばれていくのか、また物語がどういう方向へ進むのかが、比較的早い段階で明確に見えたのだが、こっちはさっぱりそれが判らない。シリアスに展開していてもその背後に入るギャグの量が尋常ではなく、話がなかなか進展しない。また異常にキャラクターが立っているので誰が何をしてもそのまま読ませてしまうのである。今回は鋭利な凶器のような突出した笑いはないけれども、トキ婆の繰り出すしぶとくて終わりのない、いつまでも後を引くようなしつこさが、にやにやとした笑いを提供してくれる。その一方でシリアスな立ち位置にいる人たちの関係が少し先に進みそうな波瀾を含み始めており、やっと物語らしいものが動き始めたな、という感じがある。このペースでいくとドラマの決着は、はたしていつになるのかまるで想像もつかないが…。愉しみにしております。続刊に期待!