眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

アンフレンデッド ★★★

 

監督 レヴァン・ガブリアーゼ/2015/アメリ

 

すべてがパソコン画面上だけで描かれる(厳密には、ラストの一瞬のみ違うけれど)という、POV映画の発展形とも言える、いまどきの映画。というか、もはや映画でもないような気もする。目まぐるしくカーソルが移動し、あちこちをクリックし、開かれた画面に映し出されるあれこれを観るのは、覗き見趣味を刺激し、非常に下世話な面白さに満ちている。加えて謎の人物(ビリー227。この名前の意味は何だったのだろう)の乱入による不可解な事態。自殺したローラ・バーンズ(何故よりによって実在する俳優の名前…)の呪いなのか、それとも誰かが復讐しようとしているのか。良く判らないままに展開していくが、通話を切るなという指示を無視したり、ゲームから脱落したりすると、途端に自殺するはめになるというところでオカルティックな風味が強くなっていく。それはそれで映画の面白さではあるが、実は眼目はそこではなく、誰がこの質の悪いいたずらを仕掛けているのかと、仲が良かったはずの友人たちが疑心暗鬼状態となり、取り返しのつかない亀裂が入っていくところが見せ場であり見どころなのだった。

 

したことあるなしゲームで、やったのは自分だと告白していくところは、作り手はどう思っていたのかは知らないが、シリアスであると同時に笑いも生んでおり、そういう意味でも大変面白い。自殺したローラですら、最悪のいじめっ子だったと言われているくらい、徹底してゲスすぎる面々のゲスな命の取り合いという、感情移入のしようのない人物設定、行動がとてもいい。PCから流れ出す歌以外は、音楽が使われていないのもよかった。リアルタイム進行の恐怖がそこにも滲む。ただ一つ、ジェスがバスルームに逃げ込んだときに、ブレアはネットを通じて助けを求めるのだが、直接警察に電話すればいいのに…と思ったのだが。何か理由があるのだろうか。

 

とても面白かったので、続編(というかシリーズ第2作か)も観たくなりますな。2作目はネットの闇を描く内容で、オカルトではない模様。たぶん、1作目でホラーな展開よりもサスペンスの方を観客が望んだのではないだろうかね。それを受けての、続編なような気がしますね。昨年は、同じようにPC画面上だけで展開する「serch」も評判になったけれど、おそらく「アンフレンデッド」が無ければ、作られていなかっただろうと思うと、なかなかにエポックメイキングな作品なのかもしれない。一種の実験映画とも言えようか。