眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

『目玉焼きの黄身 いつつぶす?①』(おおひなたごう/エンターブレイン)をよむ

主人公の田宮丸二郎は食にこだわりをもっている。表題作もそうだし、とんかつのキャベツ、カレーのルーのかけかた、などなど、多くの人々が特になんとも思っていないことに猛烈な引っかかりを覚えて悩み、傷つき、そしてその事実を受け入れて行く…。

読んでいて、これってまんま泉昌之だなあ、と思う。話が進んでいくにつれて、二郎が本郷にみえてくる。セリフ回しまで似てくるから、おそらく意識していると思わる。だが明らかに違うところがあって、さりげなく話の視点を移動させる巧妙さや、唐突な変化など、ひねったギャグを必ず用意して、ギャグ漫画として話を落とすところ。食へのこだわりが笑いをうむのは勿論ながら、そこにギャグを入れてくるのは、さすがおおひなたごう、と思った。この独特の感じは、おおひなた漫画にしかない味だ。とてもたのしい。次巻が出るのがたのしみ。