眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

ベイマックス 感想

BIG HERO 6

監督は、ドン・ホールとクリス・ウィリアムズ。

2D・吹替版でみた。

ベイマックスそのものがいい。この冬は、世界中でベイマックスみたいな雪だるまが沢山作られているのだろう。それほどに単純化されたデザインなのに、動き、変形(空気が抜けてしまうとき)、(バッテリー切れのときに顕著な)目の表情などにより、生命感にあふれたものになっているのが素晴らしい。雪だるまということでは、最近では「アナと雪の女王」のオラフがいるが、彼には顔があり、表情があった。それと比較すると、餅の中に小豆をおいたようなもの(実際には、鈴がデザインの元らしい)が、これだけのキュートさを放つというのは驚異的なことではなかろうか。これが、日本人のつくったアニメーションなら、ごくありうるものだったろうが、ディズニー製アニメとなると、また話は違ってくるような気がする。

東京とサンフランシスコを合わせて作られた未来的な街のデザインも秀逸。これまでならば、少なからず、ぼんやりとしたアジアンテイストとなり、日本なのか中国なのかあるいはベトナムあたりなのかが、混然となった感覚が多かったように思うが、いかにも日本風なのも凄い。日本的なものとアメリカ的なものの融合も、ここまで来たかの感あり。

キャラクターデザインにも驚かされた。線が柔らかいのである。アメリカのアニメーションをみているときに感じる、キャラクターのクセの強さが、ここにはほとんどない。誰もが、突出した個性の強みを見せない。アクの強い、誇張された表情もしない。生身の俳優が演じる、生々しい芝居や動きも感じさせない。あの、モーションキャプチャーなの?というような動きが、ほとんどない。キャラクターデザインと、そのアニメートは、日本アニメ的テイストを多分に含みながら、それを進化させたようなものだと思った。日本の3DCGアニメーションは、本来、このレベルに達していなければならないのでは?ということだ。これに驚愕を受けずして、何に受けるというのか。

ドラマ自体も、文句がない。過不足なしとはこういうことか、とも思う。しかもテンポは乱れることなく、その中で緩急は自在、主人公の心情は的確に描かれ、悪役にすら同情心を湧かせ、クライマックスには感動まである。圧倒的な上出来感。隙がない。素晴らしかった。

どのキャラクターが良かった?という話を、仮に親子でしたとしよう。男子ならヒロがよかったとか、女子ならベイマックスがかわいかったとか。お母さんなら、タダシが素敵とか、キャラハン教授の渋さがとか。では、お父さんは?お父さんなら誰を選ぶ?若い女子が好きだというお父さんももちろんいるだろうが、しかし大半は、彼女を選ぶのではなかろうか。

そう、キャスおばさんです。ヒロやタダシにとってはおばさんかもしれないが、おばさんって言い方はないんじゃないか?というくらい、若いじゃないか。でも、アップになると、目の下のたるみ具合とか描いてあったりするんだよな。ああ、確かにちょっと年齢高いわ、と。でも可愛いー。こんな人が嫁だったらなあー、と妄想をたくましくしつつ、感想を終える。