眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

シャドー・オブ・ナイト  ★★

監督 ティモ・ジャヤント/2018/インドネシア/NETFLIXオリジナル/

麻薬密売ルートを守るための、鉄壁の護衛が6人。人呼んで「6つの大海」。ある漁村で、盗みを働いた数人のために村人全員が殺されるが、ひとり残った少女レイラを思わず助けてしまうイトウは、6人のうちの一人だった。裏切者の烙印を押された彼は、レイラを連れて逃走。昔の仲間を頼るが、組織の魔の手は執拗だった。

過激な格闘アクションは「ザ・レイド」以降の更なる高みを目指したもの。目まぐるしく、痛みを伴うアクションは見応え充分。そこに残酷猟奇趣味が強く反映されてグロテスクな見せ場が多発し、もはやホラー映画の領域に片足を突っ込んだ状態。一方で、イトウを最終的に助けることになる謎の女など、結局素性の判らないまま。6つの大海の他の5人が出てこないのも拍子抜け。話が小さくまとまってしまうのも物足りない。物語を重視しなくても構わないが、単純な筋立てを持って回ったように語り見せるのは、損。かといって雰囲気を重視したものでもなく、犯罪映画の空気も纏いきれていない。また、アクションを収めるためのカメラを引いた画作りはともかく、画面の切り取り方が垢抜けず、間延びして少々野暮ったく感じられるのも惜しい。