眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

2月19日(土)

なんばパークスシネマで本日初日の『男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW』の初回を見る。入場が開始されてから驚いたのは、観客のほとんどがおばさま、おねえさまだったこと。あとは一人で来ている男客が数人(というかおっさん、勿論私も含む)、カップル客が一部、というくらいだから、韓流ドラマ、映画の枠内のレベルでしか認知されていないということかもしれない。作品は非常にシリアスな内容になっており、派手なガンアクションもあるにはあるが、オリジナルが男泣きなアクション映画だったのとは違って、もっと重くてやりきれなくて、痛快な娯楽映画の楽しさ、面白さとは全く次元の違うものになっていた。まあこういうアプローチはあってしかるべきというか、こうなるのも判らなくはないし、作品の出来栄えも悪くは無い。オリジナルよりも、弟側の揺れ動く心情が丁寧に描かれているため、兄弟の確執もよりドラマティックになり、後戻りの出来ないクライマックスと結末に悲劇性をもたらして、それはそれで納得出来るんだが…しかし、という感想になってしまうな。あとそうそう、チュ・ジンモソン・スンホンが再会する場面に、『奔向未来日子』が、音楽だけだが流れてくる。それは嬉しかったけれど、ジョセフ・クーのテーマ曲は出番なしだったな。

そのあと天王寺まで移動し、アポロシネマ8で『ヒアアフター』。これも本日初日。既に、これで終わり?というラストが賛否を呼んでいるが、個人的にはあの結末でも全然OK、むしろハッピーな結末として感動を覚えるくらいだった。臨死体験をしたフランス人、双子の兄を失ったイギリスの少年、そして死者と会話出来るアメリカ人。それぞれのドラマが平行して描かれていく。彼らが結びつくのは終盤に至ってで、それまでは何の関係も関連もない。死と向かいあうことで生まれた心の変化を、ホラーやSFではなく、日常のドラマとして描いている。とりたてて何かが起きるわけでもない。淡々と彼らの心情を追いかけるだけ。しかし退屈することなどなく、次第に引き込まれていくから、映画って実際に見てみないと判らないものだなあ、と改めて思ったね。こういう題材でもサラリと撮りあげるイーストウッドも凄い。また例によって、俳優の顔が見えなくなるほど影をつけた画面の作り方も、もはやイーストウッド節と呼びたいくらいである。私は好きな映画。