眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

塔の上のラプンツェル


アポロシネマ8にて。日本語3D。物凄く愉しい。愉しくて気持ちが高揚する映画なんてそうそうない。とにかく可愛くてけなげで前向きで、多幸感あふれる素晴らしい作品。

ここが物足りないなあ、という不満を何ら覚えることなく、すいすいと展開していくことの喜び。気持ち良過ぎ。俳優顔負けの芝居が素晴らしく、モーションキャプチャー的なことをやっているのかもしれないが、だとしても見事な体の動き、表情の生き生きとした様子など、全く見惚れるとはこういうことか、というほどにのめり込んで観てしまった。なんで?と自分に問うても、とにかく愉しかった、それしか言えない。これじゃ中学生並の感想だな。

ラプンツェルがあまりにもキュートで(中川翔子、好演!)。アップになるとうっすらそばかすが見えるんだよな。細かいなあ。水責めになるシーンでは、目が充血しているのも判る。フリン・ライダーも良いのだが、彼の場合は、オーバーな動きや表情ではなく、むしろラプンツェルを見つめるときの、何もしていない芝居が圧巻で、アニメーションの記号的な芝居ではなくて、もう普通の俳優の芝居ですよあれは。日本のアニメの影響がどうのこうの、というのなら、カメレオンの扱いがどうしたとかではなくて、日常のドラマをアニメで普通に演じさせる、というそっちにこそ意味があるんじゃないのか。

立体感も申し分なし。特に、舟に乗った二人を、空に浮かぶランタンと水面に映ったランタンとの間でまるで宙に浮かぶかのように描いた(ウユニ塩原のごとし)シーンはロマンティックさも頂点で、『美女と野獣』のダンスや、『アラジン』のカーペットで夜空を舞うシーンに匹敵するほどに印象的なことになっている。ただただ、ひたすら幸福である。こういう映画も年に何本かないと、心が乾いてしまう。潤いをありがとう。