眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

4月5日(木)の日記

犬神家の一族』第一回。冒頭、危篤状態の犬神佐兵衛(岡田英次)の前で、財産の状況を説明する古舘弁護士(西村晃)の言葉に聞き入る犬神家の人々のあさましさが露骨すぎて、しかも部屋の仕切りにあるふすまは黒く、そこには真っ赤に咲く彼岸花が描かれている、という見せ方に痺れる。佐兵衛の目の色が青い、というのもちょっとショッキングな表現で(外国人の血が混じっているのだろうか)、それと彼岸花とが何とも言えぬ対比で素晴らしい。旧い家の持つ空気の淀んだ感じ、冷ややかな感じもさすがの描写で(撮影は森田富士郎、美術は西岡善信)、日本家屋におけるゴシックホラー的雰囲気濃厚。テレビドラマならではの閉塞感も一種の魅力だろうと思う。次回が愉しみ。