眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

8月17日(金)


白蛇伝説 ホワイト・スネーク』 於:シネマート心斎橋

監督はチン・シウトン。2011年の香港=中国映画。

今から30年くらい前の夏休みや冬休みには、『ガメラ』シリーズや『大魔神』シリーズ、『大巨獣ガッパ』や『吸血鬼ゴケミドロ』などが繰り返し放送されていたものである。東映の長編動画も沢山の作品が放送されてそのバラエティに富んだ内容にワクワクして観たものだが、長編動画の第1作である『白蛇伝』もとても懐かしい。子供の頃に観ているので印象は強烈に残っているのだが、この『白蛇伝説』は『白蛇伝』と同じく中国の古典的なお話をベースにした娯楽大作。内容は当然同じ、悲恋ものとして日本人にも充分理解出来る物語である。

チン・シウトンは相変わらず、細かいことにはこだわらないストレートな娯楽映画職人ぶりを発揮。やたら痛快なペースで展開させていて飽きるヒマもないほどで結構なことであった。男女の機微的なものも微妙にエロティックなところも、『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』の頃となんら変わることがない。ということはつまり、ここには80年代香港映画の王道のような楽しさがある、ということでもある。女優はひたすら可憐で美しく、男たちはその命を華々しく散らすことに全てを賭ける、くらいの勢いで(この映画では誰も死にませんが)全てが成立していたあの頃…。その再現ではなく、昔のノリで作ったらあの頃のまんまのような映画が出来てしまった、という感じ。全体は大雑把な感じもあるし、売りのはずのCGもこれもめっぽう荒っぽく、元は3D映画なのだが、2D画面で観ていてもこれはあまり3D効果は期待出来ないんじゃないかと容易に想像される所も含め、面白ければいいんだろ、的な、香港映画の匂いがそこここに感じられる映画でありましたよ。

CGは確かに粗いんだけど、蝙蝠人間と戦うところはさすがのスピード感、クライマックスの大洪水の場面ではミニチュア特撮の迫力が素晴らしい。一方で、冒頭にビビアン・スーが出演しているのだが、彼女を封印するためにジェット・リーが戦う場面などは、なんだかかつてのデンフィルムエフェクトの特撮を思い出させるようなCGになっていて、呆然。なんか懐かし過ぎるテイスト。『七番目の呪い』とか『魔界戦士』とかを思い出すね。しかしながら、あまり期待していなかったせいか(失礼)、意外と面白く見ることが出来たのは嬉しい。

俳優ではシャーリーン・チョイが可愛くて良かった。ジェット・リーはさすがの貫録、ウェイ・ジャンも好演。主役のはずのレイモンド・ラムとホアン・シェンイー、二人の影が薄くなるほどでした。