8月15日(水)
『吉祥寺キャットウォーク(1)』(いしかわじゅん/エンターブレイン)
吉祥寺のカフェ、キャットウォークを舞台に、女子高校生の小夏を狂言回しとして、そこに集まってくる人たちを描いた群像ドラマ…ということになるのだろうか。
肩の力が抜けたような絵のタッチ(変わっていないですね)、つかみどころのない物語、ふわふわとしているようでいて、そこにやけに暴力的な描写が加わる。が、それすらもどこかふわりとした、夢のような味わい。特に8話に出てくる矢崎の話などは、ロッテの歌や周囲に現れるやくざ連中も合わせて、間抜けな空気を漂わせるのでニヤニヤしていると、足をすくわれる。柔らかくて硬い、独特の世界。現実の暗さを夢の如き曖昧さでくるんでいる感じ。それが、今という時間を描くにあたっての、いしかわじゅんのアプローチの仕方ということなのだろう。とても面白い。続刊に期待。