眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

ちづかマップ(1) (衿沢世衣子/小学館) 感想

出版元が講談社から小学館へと変わっての第1巻。登場人物や設定はそのまま、レギュラーキャラの説明も特になしで、同じようにお話は進んで行く。

今回は、日本橋お茶の水、堀切、そして近江(滋賀県)の四つの町を、ちづかとその仲間たちがだらだらと巡る。講談社版の最初の方は人探しや物探しなど、物語があってそこに町歩きがついてくる内容だったが、もはやそれは完全に忘れ去られ、ただひたすら歩き、目につくものに近づき、感心し、学ぶ、というそれだけの内容になっている。なので、漫画としての面白さに物語性を求めるとどうなのかな、とは思うのだが、取材で回ったところは出来る限り描こうとしているんじゃないかな、と思われる町の話や名物や歴史や風景といった部分の熱量は半端なく高く、それだけで充分にお釣りがくる楽しさ。町歩きの愉しさを描くために、物語性を放棄したのかもしれないね。(追記:元々は講談社メフィスト」で「尋ネ人探偵」のタイトルで連載されていた。そこからも判るように、ミステリ色の強いものだった。小学館凛花」に移行して、ミステリは必要じゃなくなった、ということですね)

東京在住の人はこれを読んで同じルートで回って見ると愉しいんじゃないかな。『ブラタモリ』などがお好きな人には絶対のおすすめ。ていうか2巻では、タモさんに読んでもらって帯にコメントもらうべき。