眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

1月2日(水)の日記

昨日の『相棒』は恒例の元日スペシャル。

57年前、早蕨で起きた元子爵令嬢の失踪事件。親友を失い傷付いた少女は75歳となり、平成24年のロンドンで息を引き取る。不可解な言葉を残して。彼女の姪(波瑠)の近くで怪しい動きが起きるころ、杉下と甲斐は早蕨にやってくる。

過去と現在を結ぶ謎の接点は何処にあるのか、というのが見どころ。ここに、失踪事件も、杉下がどうしてここに係わっているのかも、関係してくる。失踪というミステリとしてはありがちな小さな話が、昭和の現代史の裏側というスケールの大きな話に繋がっていくのが、あれよあれよという感じで面白い。『相棒』の長尺版は話が二つに割れてしまうことが多いが、今回はそれをギリギリの線で力技でまとめた、という感じ(脚本は太田愛)。ドラマの締めを波瑠の方においたのは、常道であったとしても、陰謀のドラマよりも少女たち、ひいては、その周辺の人々の悲しいほどの切実な思いにこそ、ドラマの血を通わせようという作り手の精神の表れだと思いたい。失踪する令嬢を演じた広瀬アリスの品のある表情が印象に残る。