眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

最近みた映画

クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!!
今回は脚本に浦沢義雄が参加していることもあり、期待がないわけでもなかったが全く乗れずに終了。どういう制約があるのかしらないが、誰が悪いかでかすかべ防衛隊メンバーがお互いを罵りあい涙するとか、そういうシリアス要素は個人的にはいらない。誰がそういうことをやろうと言っているのだろう。話は単純なのでもっと面白いことを詰め込めると思うのだが、変なキャラクターが出て来て行く手を妨害するだけ(しかもキャラ自体は全然立っていない)の繰り返し、重要な役回りのはずの渡辺直美も出てくるだけみたいなもの。物足りない。


ラストスタンド
シュワルツェネッガーの主演復帰第1弾ということだがちっとも話題にならず。アメリカでもこけているが日本でも同様だろう。これも話は単純。だがちっとも乗れず。昔やっていたころと何も変わっていないところがよくもあり、つまらなくもあり。想像されるところ以上のものは何もなく、ちょっとした小さな美点を面白いと取り上げるような優しさはわたしは持っていないので、中途半端にグロテスクな暴力描写といい、今風な悪役の薄っぺらさといい、中身のなさにがっかり。ただ、シュワルツェネッガー自身の俳優としての魅力は大幅増。年をとって、にじみ出る苦渋の表情や仲間へのいたわりの表情にはグッとくるものがある。


セデック・バレ 第一部・太陽旗 第二部・虹の橋
無事にオリジナル版で公開されたことを喜びたい。中身も大変な力作。見応えたっぷり。先住民たちの怒りと不満、そして誇りがおそるべき武装蜂起へと盛り上がっていく第一部のクライマックスのすさまじさ。本気を出した日本軍との全面衝突の戦争映画並の大破壊の第二部、しかもどんどんみるのが辛くなる非情な展開。力作であることは間違いがないが、もうこういう映画はみているだけでつらい。双方にもっと相手を理解し敬う気持ちがあればこんなことにはならなかったかもしれない。そう思うとむなしくてやりきれない。モーナ・ルダオはカリスマだが、それに踊らされるように彼の運命に殉ずるような部族の面々をみていると、勝手な人間に振り回されて人生を無駄にするような怒りすらおぼえて、誇りだとか面子だとかにこだわって死んでいくことを男として立派だ、そうすることで虹の橋を渡れるのだ、というのはどうにも受け入れ難く、部族の女性たちが泣く泣く行動を共にするのをみて、本当に迷惑、とばっちりもいいとこ、な、良い気持ちなのは当事者だけ、な不愉快さを、いら立ちを感じずにはいられなかった。作品のテーマとは関係のない部分で、今は、こういう映画には気分的についていけない。


プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命
因果は巡る…とでも言えばいいのか。犯罪映画風にスタートするのだが、繊細すぎるライアン・ゴズリングの心情が、『ドライヴ』や『スーパーチューズデー』の脆さとその裏返しの暴力性と共通性があって、またこのパターンかと思いつつも興味深く拝見。展開していくうちに犯罪映画ではなくなり、犯罪によって狂っていく人生についての映画になる。ブラッドリー・クーパーは前半の新米警官の部分がよく、理想を持った初々しさと、黒い影の前にうろたえる姿、そしてそれを力で乗り越えるしたたかさと、徐々に違った表情をみせていくのが素晴らしい。あとデイン・デハーンがいいね。暗い表情と柔らかい笑顔、募らせていく怒りと不満、動揺と自暴自棄とその先に抜けるクールで寂しげな佇まい。エモリー・コーエンも尊大ながらも不器用で、父の愛情を求める姿が切ない。ほかゲストのレイ・リオッタローズ・バーンもよかった。レイ・リオッタがクーパーの車を覗きこむカットがめちゃくちゃ怖い。顔の右側が少しだけ見えているカット、表情が全然見えないことの恐怖!この人は本当に怖い演技が出来る人だ…。ローズ・バーンはクーパーを同僚たちに引っぱり出される場面での、いやで困っているけれどそれを表に出さないイラついているところに生々しさがあってよかったな。

どうも、これはいいな!と思える映画に出会えていない感じ。うっかりしていると夏休み映画も公開になる時期になってきた。楽しい映画がみたいなあ。