眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

最近みた映画の感想

簡単に。

アナと雪の女王』  ディズニーアニメはどんどん内容がシンプルになっているような感じがするが、今回もドラマのスケールは非常に小さいのでそれにまず驚く。中盤に用意されている「Let it go』の熱唱は、予告編を正直、首を傾げながらみていたのだが、ドラマの中に置かれるときちんと意味が通ったものになっている。逃げて来たにもかかわらずそれを前向きにとらえ、やりたいようにやれる!と歓喜の声をあげる、そんな場面になっていて、大変感動的。これもびっくりした。ただ、歌のステージとして完成し過ぎていて、それが鼻につく感じもあるが。クライマックスもこじんまりとしており、派手にするのをよしとする一般的な娯楽映画のあり方をずらしている感じなのも面白く、「真実の愛」がどういう形のものかも、ひねりがあってよかったです。でも何より驚いたのは、神田沙也加と松たか子の演技と歌唱力!ここまで実力のある人たちだったのか、という衝撃がありましたわ。

LIFE!』  これも話自体は非常に小さいものであり、壮大であるのは主人公のベン・スティラーの頭の中の妄想だけ…という出だしから、全然想像していない展開になっていくのがよかった。写真のネガがないと気付いたベンは、カメラマンを探してアイスランドへ、そしてグリーンランドへ、と予測しなかった世界へと飛び込んでいく。まるでつかまらず、でもその度に、徐々に徐々に、世界も、心も、人間関係も、彼の世界は広がっていく。社会の中で埋没しかけている生活の中から、自由に世界を飛び回る人間の後を追っていく行為は、小さな視点から大きな視点へと移動していくことであり、そのためにスケール感あふれる映像が目の前に繰り出されることになり、その空間の広がりを計算にいれた画面作りが素晴らしかった。最終的な結末には、真面目に生きている人に対する敬意があふれたものになっていて、それも感動的だったな。後半の展開は、バカバカしいというのではなく、ホラ話として愉しむのがよい。

キャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャー』  冒頭でジョギングしているキャプテンの姿が、船に潜入して甲板を走り回りながら敵を倒して行く場面に呼応しているのが、実にスムーズな流れを作り、キャプテンの超人ぶりも見事に描き出していて、この頭の部分で一気に引き込まれてしまう。物語はシールド内にすくう闇の勢力との戦いとなるのだが、70年代ポリティカルスリラーを標榜としたらしく、ロバート・レッドフォードがそんな役やるの!という役柄で登場。これは必然的に『コンドル』『大統領の陰謀』『候補者ビル・マッケイ』などを思い出さずにはいられない。巨大組織がもたらす恐怖政治という点では先だっての『ロボコップ』と似通ったところも見受けられて興味深く、真摯なメッセージになっているのも意外な硬派ぶり。アメコミ映画としては、こういうテーマはキャプテン・アメリカでないと描けないのかもしれない。一方で、キャプテンとナターシャの微妙な関係もいい感じだったり、キャプテンとペギーの再会の場面はちょっと涙なしにはみられないものだったりして、メロドラマ的なやりとりにきちんと血が通っている感じがある。アクションは、格闘技やパルクールなどを取り入れたものになっており、リアル指向な感じ。地に足のついた肉弾戦が見どころで、VFXでごまかすような戦いになっていないのも素晴らしい。でも、ええっ、という展開は、『ファースト・アベンジャー』『アベンジャーズ』と見てこないと楽しめない。実質『キャプテン・アメリカ3』ですしね。あとの見どころはジェニー・アガターね!クライマックス、びっくりしました。