眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

X-ファイル(1)〜第6話「影」

上司の自殺で深く落ち込むローレン。ATMで振込をしていると、二人組の強盗に襲われる。しかし二人は死亡。ローレンは無事だったが、自分の身の回りに何か変化が起きていることに気付き始める。強盗の死体は、喉の骨を粉砕するような力が、内部から加えられているという奇怪な状態で発見される。モルダーは、これはサイコキネシスによるものではないか、と想像する。

上司(幼い娘を亡くしていた)もローレンも、お互いを父と娘のように思っていた。この死んだ上司が、可愛がっていた部下を護っているという泣かせる設定。奇怪な事態に、静電気の異常発生という理由を持って来るので、ローレン自身の秘めた力(静電気を発生させる特性を持っているとか)と強い思念が、上司の形を取って現れているのかとも思ったけれど。心霊現象には、静電気が関係するともしないとも言われる。霊によるものか、ローレンによるものか。そこは霊である方が、ロマンがあっていい。霊の存在をはっきり証明出来なくて、モルダーは残念そうだったが。お話としては、事件の裏側に殺人があり黒幕がいるという、典型的な怪談のよう。安心してみていられる。
新しい土地で仕事をしているローレン。上司が彼女の仕事に文句をいう。するとテーブルの上のカップがぶるぶると震え出す…が、単なる車が通るときの振動によるもの、というラストがよい。亡き上司(霊としてもいなくなってしまった)への愛情と感謝がにじむ、ローレンのかすかな笑顔が切なかった。