眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

『げんしけん 二代目の八(17)』

木尾士目・著/講談社

16巻では波戸くんの心情中心に展開していたけれど、彼がはっきりと斑目をターゲットとしたことで、今回は斑目のハーレム話が中心に。波戸くんに対する気持ちって難しい。彼が女性なら問題ないけれど、中身は男だから。ゲイではない人が、それを乗り越えるのはハードルが高いよ…。その一方で恵子の存在が大きくなっているのだが、これが斑目にとっての、現段階においての正解なのでは…という気もします。しかし、誰も恵子を恵子とは呼ばないのは酷いんじゃないか。名前で呼んでるのって大野さんだけ?斑目たちには、笹妹(ささいも)としか言われていないし、認識もされていないのでは…。とはいえ、コミュニケーション不全なところのある斑目久我山が、恵子(やキャバクラ嬢)と普通に話しているところに、なんだかんだ言っても、社会に出て揉まれた人の成長ぶりが窺え、大学時代からの時間の経過も感じさせて、ちょっと感無量。

サークルクラッシャー的な立場になった斑目は、次にどんな行動を取るのか。もう一つ気になるのは、矢島っちのモノローグ。「斑目先輩よかコイツの方が、よっぽどハーレム体質なんじゃねぇのか…?」と独白しているところ、コイツとは波戸くんのことで、食事を作ることでスーを、積極的に攻めて斑目を、つるつるで吉武の妹を、故郷には今野を、そして何より矢島っちを(あ、あと朽木くんもか)、知らずに虜にしている、というね…。サークルクラッシャーというには、その輪がでかすぎて見えにくいけど、確かにそういうところがあるわなあ、と。そこに気付く矢島っちがまた可哀相というか…。そういう意味で言えば、吉武はあんまりドラマそのものに絡んでいなくて…状況を動かすため(…というより、矢島っちを動かすためか)の役回りになっていて、不憫。重要な役だし、出番は多いのにね。

18巻は初夏発売予定。無事にそのときを迎えられますように。