森山中教習所
真造圭伍・著/小学館
2010年発行の作品。
他人のやることにあまり意識を払わない、自分中心に行動する大学生・佐藤清高は、ひょんなことから打ち捨てられた中学校を使った教習所で、免許を取ることになった。そんな夏の出来事。
登場人物のキャラクターに味わいがあり、その大方がダメな部類に属ずる人々。第三者にとっては有害でしかない人物ばかり。しかし、そこに自己憐憫のようなものはなく、ドライに描かれているので、湿っぽさもねちっこさもない。暴力的な物語でもあるのに、カラリと乾いた笑いに抜けているのも良い。
誰もが、誰かと密接に結びつきたいと思っている。物理的な距離は近いけれど、微妙にずれている。しかし、完全に逸れているわけではなく、大きく括れば、すぐ傍にいる人ではある。そのあたりの、近過ぎず遠すぎず、な距離感の置き方が心地良い。しばらく時間が経ってみると、あれはかけがえのない時間であり、人々であったのだ、と思い出すような、そんなぼんやりとした空気が、夏の暑さと共におぼろげに浮かんでくるような、大変夏っぽい青春もの。これからの時期にぴったり。
- 作者: 真造圭伍
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/08/30
- メディア: コミック
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