眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

「ウルトラマン」 第2話「侵略者を撃て」

KBS京都にて、毎週金曜・午前1時より放送中。

脚本・監督は飯島敏宏。

1966年(昭和41年)製作なので49年前。来年は50周年…。おめでとうございます、ともう今言っておこう。

本編は、第2話が一番最初の撮影だったのは有名な話し。それを知ってみると、若干、芝居がぎこちない感じがするのも味わいのあるところ。イデ隊員がいきなり画面に向かって話しかけてくるのも楽しい。

バルタン星人の合成が今みても大変見事。移動して本体に合体するところ、地面に倒れたあとに脱皮するみたいに抜け出すところなど、合成としては初歩的だと思うのだが自然なうえにインパクト強し。クライマックスの空中戦のスピード感も素晴らしい。こんなにテンポのある編集がされていたとは。飛行するウルトラマンよりも高い位置にカメラを置き、ウルトラマンの背中越しに地上のガスタンクが爆発するのをみせる俯瞰のカットなど、奥行きの立体感が素晴らしい。このあと、地上側からみたカットもあるのだが(カメラを2台使っているということではなさそう。たぶん、2回撮っているのでは)、ここも迫力がある(特撮監督は的場徹)。特撮映像として見応えあるな、と。

他にびっくりするのは、「敵の宇宙船がどこにいるか判れば、核ミサイルのハゲタカを撃ち込むんだが」と平然と言ってのける防衛隊の偉い人とか。力を過信し過ぎ。しかもバルタン星人が巨大化すると、本当に躊躇なくハゲタカを撃つのもたまげた。

ムラマツキャップの平和的解決方法を一笑に付すというタカ派っぷりにぞっとする。「ハゲタカが相手に有効かどうかも判らんでしょう」「敵の欲しいものをこちらが提供できるのなら、それを与えて帰ってもらう」というキャップの言葉に会議は紛糾。科学特捜隊に託されている進歩的で平和的というイメージが、未来の、空想科学の世界の話しとはいえ、やっぱり理想に過ぎないのか、という複雑さも感じさせる。一方で、科学特捜隊は軍隊ではない、科学者による特捜チームであるということを明確に描いている場面でもあった。

バルタン星人が故郷を失った理由も凄い。ある発狂したひとりの科学者の核実験で爆発した、と。だから地球を侵略してもいいだろ?というのは筋が違うが、なんという悲惨な出来事なのだろうと同情してしまう。恐ろしい話しですよ。

他に素朴な疑問として。バルタン星人は、宇宙船の中に20億3千万人乗っているらしい。イデ隊員が「世界中の人口合わせたって22億だっちゅうのに」と言うのだが、アメリカ商務省国勢調査局というところによれば、1966年当時世界の人口は34億人みたいなんだけど、これはどういうことなのか。ウルトラマンの世界では、人口調節がうまくいって、爆発的な人口増加が避けられたということなのだろうか。

イデ隊員の「そりゃあ宇宙語に関してはかなり『きちがい』さ」という台詞がさらりと放送されたのもうれしい。というか、先日の「獄門島」もだが、そういう意味の「きちがい」ではなければ、放送倫理的には問題ないのだろうか。それならテレビもまだまだ捨てたものではないな、と思えるのだが。

実は、ヒドラケムラーなど、見逃している話しがいくつかある。今回はそれら未見のものをちゃんと見るチャンスだと思っております。楽しみ。