眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

「劇場霊からの招待状」第1話〜「埋葬」

監督は中田秀夫。脚本は加藤淳也、三宅隆太。

11月21日公開の「劇場霊」に合わせてのスピンオフドラマ。「劇場霊」にも登場する錦野豪太(小市慢太郎)がストーリーテラーとなり、恐ろしい話をしていく、という趣向。

大学のゼミの飲み会でしたたかに酔っぱらった香坂里緒(横山由依)。友達は、ゼミでも存在の薄い間宮祥子(島ゆいか)に里緒をおしつけて二次会に行ってしまう。祥子の自宅には、玄関を入ってすぐのところに、半地下に通じる小さなドアがあった。里緒は、そのドアから物音が聞こえているの気付く。開けるなと言われていたが、不審に思った彼女はドアを開けて中に入ってしまう…。

ネタばれ。

中には、最近この近所で行方不明となっている少女たちを「探してください」のポスターが貼られた一角があった。そして部屋の隅で物音が。女性(飛鳥凛)がひとり、拉致されている!彼女は「夜道を歩いていると突然とらえられて注射され、ここに連れ込まれた、あの女が犯人よ!」と言う。里緒は、女を連れ出し、外へ出ようとするが、そこへシャワーを浴び終わった祥子がやってくる!

部屋の隅の方の薄暗さ、地下室の暗闇、二階の踊り場(?)でのやりとりなど、暗いことの怖さをちゃんと描いているのは、さすがにうまい。また、一軒家の中での命の取りあいという描写はなんとも恐ろしい。広いようでも、頭のおかしい人間においつめられるとなると、一気に狭くなる。心のよりどころとして一番安心出来るはずの場所が地獄と化す恐怖。この辺りの正統派なドラマ展開と見せ方、見ている者をいたずらに驚かせるショッカー的演出がほぼ皆無というところに、中田秀夫の姿勢が見える。じっくりと、恐ろしい状況をみせたい、ということであろう。深夜の低予算のドラマながら、丁寧に作られているという印象だった。

被害者と思っていた人物が実は加害者だった、という展開は「ヒッチコック劇場」やその他のアンソロジードラマでもよくあるもの。また結末も、ああこのパターンか、という感じに落ち着いてしまう。映画だと「失踪」なんかがそうですね。てっきり心霊ホラーもののドラマと思っていたが、第1話は犯罪ものだった。まあ怖さにも色々ありますからな。今回は、嫌な後味、というタイプの怖さ、ということだろう。

少女たちを拉致していた女を演じているのは、飛鳥凛。ちょこちょこと単発ではドラマにも出ているようなのだが、個人的には久しぶり。それこそ「七つまでは神のうち」以来だったように思われるが…。見た目は地味目なOL風で、ちょっと大人っぽくなっていた。年齢を考えれば当然だが。事務所を変わったようなので、これからもうちょっとドラマに出てくれたら嬉しいんだけど…。

このドラマ、飛鳥凛見たさにチェックしたのだった。何話目に登場するかは知らなかったので、それまでは見ようと思っていたのだが、もう出番が終わった以上、次回をみる意味は失ってしまったな。どうするか。