「特撮秘宝vol.2」 感想
洋泉社/2015
全体の約3分の1ほどが、昭和ガメラに関して割かれている。貴重な絵コンテやメイキング写真が興味をそそる。また、山下洵一郎、宗近一、三夏紳、平泉成といった俳優たち、助監督の今子正義、明瀬正美、操演の恵利川秀雄といったスタッフたちへのインタビューが素晴らしい。現在の映画のメイキングとは違い、今まで語られることのなかった当時の撮影状況のことが判るのだから、これほど面白いことはない。昔の特撮映画について語るということは、昔の邦画について語るということでもあり、特撮に限らない話が色々と出てくるのも読んでいて愉しい。特に、三夏紳(ギャオスに喰われたカメラマン)の語る、増村保造によるしごきの壮絶さなど、読んでいるだけで厳しい。大スターである市川雷蔵たちも一日中、苦闘する三夏に付き合うことになるのも凄い。また、スターであっても、増村という監督を尊重し、じっと撮影を見守るというのが、往時の撮影所の「皆で作っているのだ」という連帯感のようなものも感じさせる。実際にやられる方はたまったものではないし、そんなやり方も間違っていると思うのだが、その分、監督もスターも、耐えた三夏に対してのフォローは徹底していたようで、それがあったから、製作現場は成立していたんだなあ、とも思う。他にも、池田宗弘や三上陸男といった特殊美術で腕を振るった人たちの話し、ジェットジャガーの中の人・駒田次利や、平成ゴジラの中の人・薩摩剣八郎の語るピープロ・ヒーローショー時代など、インタビューの熱量の凄さは圧巻。そしてまた、それらもさることながら、その他も読み応えありの内容で、満腹状態。これで1500円+税とはお買い得としか言いようがない。
Vol.3では、スペクトルマンの怪獣人気投票などもあるようだが、そっち中心の内容になるのだろうか。個人的には「仮面の忍者赤影」の特集を希望!
別冊映画秘宝 特撮秘宝vol.2 (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2015/10/13
- メディア: ムック
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