「キングコング 髑髏島の巨神」 感想
監督/ジョーダン=ヴォート・ロバーツ
見せ場の連続で綴られる映画というのが、実は苦手である。見せ場で繋ぐのならそれなりの趣向を考えてくれないと退屈してしまう。この映画では、決してそういうわけではないはずなのに、これまでに何度もみたようなことを、何度もみたように描いているとしか思えず(部分的にハッとするところはあるにせよ)、途中で睡魔に襲われた。その単調な映画の構成にやっと乗れるのが、クライマックスあたり。少々遅すぎた。一番興奮したのが、エンドクレジット後のおまけだった、というのも笑えないジョークである。
「闇の奥」であるとか、コンラッドであるとか、「地獄の黙示録」であるとか、そういう面からのアプローチもされている映画である。遅れて来たベトナム戦争映画という見方も出来る。戦争の結末に不満で、多くの部下を失った軍人が、なんとか雪辱戦を果たそうとする狂気じみた思いは、「地獄の黙示録」のカーツ、ウィラード、キルゴアの3人の狂気がブレンドされたような感じで面白い。厳密に言えば、密林の王は、コングがそうなるのだろうが。しかしそれらは細部の面白さでしかないと思うのである。気付く人や判る人だけが面白がれる部分であり、怪獣が暴れる映画には基本的には無関係である。かといって怪獣が暴れるだけでは不満だ、というわたしのような観客もいるわけで、多くの客を納得させる映画を作るのも大変ですな、というか無理ですな、と思うしかないのであった。
面白いと思わない映画の感想を書くのは苦痛。好きな映画、面白かった映画についてだけしか書かないようにしよう。前にもそんなことを書いた気がするけれど。