眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

レクイエム−最後の銃弾− ★★★★

監督 ベニー・チャン/2013/香港=中国

ティン、チャイ、ワイは、昔からつるんでいる刑事。タイの麻薬王を追い詰めたと思ったところを逆襲され、ワイは銃弾に倒れてしまう。ティンは作戦失敗の責任を取らされ閑職へ。潜入捜査官のチャイは、ティンの後押しもあり復職し昇進。そして5年後。麻薬王の息子が殺され、麻薬が奪われる事件が発生、事態が再び動き出す。

男3人の放つ熱量の高さは(描写としてはジョニー・トーも入ってくるが)、ジョン・ウーたちの時代のものに近い。当時ですらファンタジーの領域にあったものを語り直すと、完全に男たちの夢になるのが儚さすら感じさせる。中身の濃さ以上に古さを強調することになっているが、かつてを知る香港映画ファンは、そこに陶然とする。「男たちの挽歌」と「ワイルド・ブリット」が下敷きになっているのは明白で、それらの映画の登場人物の立ち位置が入れ代わり立ち代わりして語られていくのがなんとも不思議。認知症のワイの母親がティンを我が子と思って話しかけ、チャウがティンを、ワイがチャウの振りをして母に答える場面。ねじれがほどけないままでも、あえてそれを受け入れる姿勢。親友の立場に立つことで信頼を取り戻すのが美しかった。