眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

追撃者 ★★★

監督 ジャン=バティスト・レオネッティ/2014/米

モハーベ砂漠でガイドをしているベンは、大富豪マデックの案内をすることに。マデックは金に物を言わせる嫌な男だが、狩猟許可証の確認を求めるベンは、彼の差し出した大金の力に屈してしまう。しかもマデックは誤射で人を殺してしまい、その隠蔽をベンに持ち掛ける。一旦はそれを飲んだベンだが、考えを翻したところを裏切り行為だと詰られ、砂漠の只中に半裸で放り出される。

金の亡者で暴君のような男が、罪を青年にひっかぶせ、炎天下の砂漠で衰弱死していくのを眺めるという狂気の沙汰。嫌疑がかからないように、決して止めを刺そうとはしないところに、狡猾さと変質的な気質が垣間見えて恐ろしい。自動車と足、最新式とシンプルで原始的なアイテムという対比が、逆境の主人公を更に追い込むのもスリリング。それだけにクライマックスの銃対パチンコには、シンプルさゆえの痛快さがある。街に戻ってからマデックが逃走するのは良いが、追加撮影の如きラストは蛇足。射殺された男が、砂漠のあちこちにアイテムを隠しているのが面白いが、砂漠に一人で住み、一人の女性にこだわり続けていた様子など、少し心を病んだ人だったのか。何も語られない彼の人生が気になる。