眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

珈琲時間 感想

珈琲時間(豊田徹也/講談社)を読了。

エピソードの中にちらりと珈琲が出てくる、という程度のものから、重要な小道具として機能する話まで、色々な味わいの短編集。少し、連作的な趣もあり。

「きりん」や「Lost In The Flood」や「うそつき博士」などはファンタジー、「Hate to See You Go」「リトル・ガール・ブルー」「夢」などはシリアスな色合いが濃く、それぞれ面白いのだが、個人的な趣味ではどこかとぼけた「ロボット刑事」や「田中ブックカフェ」なんかが好み。

あとはやっぱりイタリア人映画監督アントニオ・モレッリ(ナンニ・モレッティがモデル?)が出てくる話。ストリートミュージシャンの夏美との絡みをもっと読みたい。最終話でのモレッリの「さあコーヒーを飲もう 今すぐに!」という言葉は、珈琲好きな人間にとっては最高の言葉。少し感動的でもあり、その言葉を引きずって、勿論飲んだよ、すぐさまに、インスタントだけど。いや、冷房の効いた静かな部屋で、漫画を読みながら飲むコーヒーは、インスタントであっても値千金の価値があるだろう。

珈琲時間 (アフタヌーンKC)

珈琲時間 (アフタヌーンKC)