珈琲時間 感想
エピソードの中にちらりと珈琲が出てくる、という程度のものから、重要な小道具として機能する話まで、色々な味わいの短編集。少し、連作的な趣もあり。
「きりん」や「Lost In The Flood」や「うそつき博士」などはファンタジー、「Hate to See You Go」「リトル・ガール・ブルー」「夢」などはシリアスな色合いが濃く、それぞれ面白いのだが、個人的な趣味ではどこかとぼけた「ロボット刑事」や「田中ブックカフェ」なんかが好み。
あとはやっぱりイタリア人映画監督アントニオ・モレッリ(ナンニ・モレッティがモデル?)が出てくる話。ストリートミュージシャンの夏美との絡みをもっと読みたい。最終話でのモレッリの「さあコーヒーを飲もう 今すぐに!」という言葉は、珈琲好きな人間にとっては最高の言葉。少し感動的でもあり、その言葉を引きずって、勿論飲んだよ、すぐさまに、インスタントだけど。いや、冷房の効いた静かな部屋で、漫画を読みながら飲むコーヒーは、インスタントであっても値千金の価値があるだろう。
- 作者: 豊田徹也
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/12/22
- メディア: コミック
- 購入: 19人 クリック: 320回
- この商品を含むブログ (128件) を見る