眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

9月17日(金)

朝っぱらから高速バスに乗って一路金沢を目指す。カナザワ映画祭でオープニング野外上映される「シェラ・デ・コブレの幽霊」を観るためだけに行ってきましたよ。

今回の上映について既に感想を書いているブログやらツイッターやらを見れば判りますけど、8時開始が遅れに遅れて9時を回る事態になりまして、大変でした。なんだよ1時間くらいなんてことないだろう、といわれるやもしれませんが、芝生とはいえ地べたに座りっぱなしなのはそれなりにキツく、私どもは上映場所に比較的早めにやって参りましたので、結局3時間半か4時間近く座ったままだったのは、はっきりと、しんどかったと言わせてもらいますよ。

しかも、ちょっと映写機の調子が悪いのでお待ちください…が、8時半からとしたいと思います…に、それが、9時からにしたいと思います…へと徐々にずれ込んで行くアナウンスが、いよいよか!と盛り上がる気分にいちいち水を差し、がっかり度合いが倍、さらに倍!くらいに大きくなっていくあのどんより感。観客の、ええ〜、というどよめき。このまま上映出来ないのでは…という不安はありましたが、でもそれもライブ感と言いますか、イベント感が増して、愉しくもありましたな。こんなくだらない事態を数百人の観客と共有したのも、なんとか上映が始まり、そして無事に終了した今となっては、既に愉しき思い出になりつつあります。

で、肝心の映画なんですけども、良く出来たホラーミステリ、という感じ。元々テレビのパイロット版だったらしいですけど、話としてはコンパクトな心霊探偵もの。監督のジョセフ・ステファノは「サイコ」の脚本家として知られていて、それを知っていれば、ああなんとなく…という感じはしますな。同時にテレビの「アウター・リミッツ」の製作者であり、それも、ああなるほど…という感じ。あの幽霊の顔写真だけが有名で(実はあの写真すらも、テレビ画面を写したものらしい?というくらい資料がない)が、実際に映画を観て、なるほどこういう姿だったのか、と。ちょっとなんていうんですか、透けているというか反転させたような映像で、それであの感じなのか、と納得がいったり。撮影はコンラッド・L・ホールだったりするのも驚きですが、この人も「アウター・リミッツ」組だったんですね。

館の暗闇が怖い!ドアが閉まった途端に風が吹き荒れて幽霊が出現する場面の唐突さも怖い!何よりも女のすすり泣くような声!あれはぞっとするくらい後まで残るなあ。あと、マーティン・ランドーの家のセットもちょっと変。テレビ的な何かを想定して作られてると思うんだけど、ドアを開けたらすぐリビングになっているのは奇妙な感じですな…などなど。噂では昔テレビ放送されたときと、この添野さん所有のフィルムは結末が違っている、とも言われてますけどそれは本当なんすかね?カラー版があるんでは、という話もあるし。幻の作品にはまだまだ謎が尽きませんな。ということで、上映トラブルはあってもそれを含めて、良いイベントでした。