眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

10月29日(金)

昨晩はDVDで『ロッキー・ザ・ファイナル』を。案外乱暴というか、雑というか、全体的に大雑把な印象を持ったんだけども、そこが絶対評価にならないところに、この映画の意味がある。『ランボー/最後の戦場』もそうだったけど、どっちもスタローンの人気シリーズに決着をつける、その落とし前の着け方がどれだけ本気で、観客(シリーズを見続けて来た者)に対して誠実であるか、そこが重要であって、よってこの最終作に至るまでのスタローンの人生や、シリーズの波瀾の展開を知らない人間には、非常に冷たい作りになっているのだが、そこはスタローンの心情がダイレクトに出ているんだろう、今まで付き合ってくれた人間に対しての返事、という感じ。お礼なんである。横でチラチラと眺めて、『面白いの?』と二ヤリと笑い、小馬鹿にしたように口を挟むうちの嫁などのことは、私もスタローンも相手にしない、ということである。見事な退場であった。それだけしか言うことはない。あきらめてはいけない、というメッセージは自分自身への、そして観客へのそれである。あまりにもスタローンの心情が込められ過ぎていて、本気でそう思っているであろう様子が透けて見えるようで、熱くもあり、痛々しくもあり、しかし無様にもすべてをさらけだして訴えようとするその捨て身のような姿勢には感動させられてしまうのである。カッコ悪い、だがそこがカッコいい、という典型で、女子供には理解されないであろう武骨さがたまらんよ。それと私は『ロッキー2』が好きで、だからこの最後の試合の2ラウンドから最終ラウンド手前までがテキパキと編集されていくところに、『2』の同じようなところで使われた音楽が流れ出した瞬間には鳥肌が立ったよ。さすがスタローン、自分の映画のことが良く判っとるね!あと、別エンディングより、本編の終わり方の方が数倍素晴らしい。