眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

1月6日(木)

今日マチ子100番めの羊』(廣済堂出版)を読む。あとがきに、あえて少女漫画の定型の世界で遊んでみた、とある。が、主人公のなおみが憧れるハヤシと、彼と関係のある典子の描写は、少女漫画の定型というには少々苦い味わいがある。少女漫画というくくりが大きすぎて、今日マチ子のそれと私のそれにずいぶんと差があるということなのかもしれないが。一方で、なおみにくっついてくる後輩のマナは、ファンタジーのごとき世界の住人であり、その辺のバランスは難しいなあ、とも思う。まるごとファンタジーだと思った方が、読みやすいかもしれない。退屈な作品ではないが、個人的には『センネン画報』や『みかこさん』のように、省略の美学を突き詰めるような作風の方が好みかな。あと、読みやす過ぎてあっという間に読み終えてしまうため、コストパフォーマンス的にはあまり喜ばしくないかもしれない。そういうところまでが本を読む愉しみだとしたら、読書というのも意外と難しい。