眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

2月22日(火)

狂った野獣』を見る。子供がバスに乗っていると知った母親たちのシーンとか凄く可笑しい。パックしたまま町を激走(松井康子のぽっちゃりした体が揺れる!)、タクシーに乗ろうとしていたおばあさんを突き飛ばして自分たちが乗る、というシーンに思わず爆笑した。緊迫した車内では、教師(野口貴史)と生徒の母親の不倫カップルの喧嘩(あんたが最初誘った、いやそっちこそ、みたいなことで)の後ろの席に、志賀勝(ちんどん屋の恰好)がずっと映り込んでいて、微妙な表情をしているのも可笑しくてたまらん。ノンストップアクション映画として文句なしなのだが、エゴむき出しで自分勝手な乗客たちがあまりにも下品、あまりにも低劣で、そこがまたたまらない面白さなのである。加えて、バスジャックした片桐竜次と川谷拓三のボンクラぶりがまた最高。片桐竜次は現在の『相棒』なんかとは全く違う、ぎらぎらしたところがかっこ良くて、バスの運転手と二人で収まっているカットなんかのうつろな表情とか、狂気を秘めた怖さもあって、凄く良い。一方の川谷拓三の小物ぶり。喧嘩もダメだし、すぐ弱気になって泣きそうになる。南国土佐を後にして、と歌い出すところなど、哀れさが極まる名シーンではなかろうか。拓ボンの女、というのが警察のシーンで出てくるんだけど、それが、えっ女って?母親じゃなくて?というほどおばちゃんぽい人なのも、なんだか寂しくて良いんですよ。あと、渡瀬恒彦についていく、ある意味ちょっとけなげでもある女の子を星野じゅんが演じているが、allcinemaだと、この作品の他には『爆発!750cc族』『爆発!暴走遊戯』『ドーベルマン刑事』しか出て来ない。1976年から77年にかけての短い期間だけの活動だったのだろうか。ていうか、この人何者?演技はかなり下手だよね。バイクの腕は確かなので、そっち方面からのスカウトだったのだろうか、岩城滉一みたいな。とにかくこれだけ面白くてたったの78分。最高だ!