女囚霊〜塀の中の殺戮ゲーム〜/加藤山羊(小学館)
東北F県女子刑務所内で起きる奇怪な事件を描く恐怖劇。『女囚霊』というタイトルは、『女優霊』を思い出させるので当然心霊現象メインのホラーと思って読み始めると、意外や理詰めで展開するサスペンス。気の狂った人間の思いが次々と死を招く。
描写としては『女優霊』よりも『呪怨』か。ノート一面に綴られている呪いの(ように思える)言葉も、伽耶子のストーカーノートを思い出せるし、クライマックスで正体不明の何者かが、主人公の美山を追いかけてくる場面も、二階からずるずると降りてきて恐怖をまき散らす伽耶子そのもの、という感じ。以下ちょっとネタばれ。
『犯人がわざわざ不気味な扮装をしてプレッシャーをかける手間のかけ方は、シリーズを重ねても毎度毎度二階から下りてくる伽耶子の律義さに似ている』
面白いんだけど、それほど衝撃的なネタというわけでもないので、驚きや恐怖がこちらの想像を超えることがない。理に落ちる、という感じの方が強くなってしまっているのが残念。説明がついてしまうと、恐怖は一気に薄れてしまうと思うのだが、如何であろう。