眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

スカイライン−征服−


監督はグレッグとコリンのストラウス兄弟。『AVP2』の監督でもある。そう聞いて、心からこの映画を愉しみにするという人はどれくらいいたのだろうか。とはいえ、あの予告編を見れば、騙されるのを覚悟してでも観に行こうという気になるもので、全く期待せずに足を運んだのだが…。

脚本家はいるようだが実際に本にしてまとめたのだろうか。現場での思いつきで撮影を進めて行ったのではないか?それくらいにスカスカで中身のない展開に呆然とさせられる。VFXのクオリティからすれば相当額の予算がかかっているように見えるけれど実際には1000万ドル。それでこれだけのことが出来るということにはさすがに感心するけれども(部分的にはあれここチャチだなというところもある)。高層マンションだけを舞台にした籠城型サスペンスとして作られているのは、如何にも低予算映画の定番ではあるが、様々なパターンをやりつくしたスタイルなのでもはやここでやっていることには何も面白みも新鮮さもない。いやそんなことを求める方がどうかしているのか。しかしながら登場人物は全員に共感出来る所がないという、反撃してもあっさりと修復してしまう宇宙人の恐ろしさ並に、情け容赦のない薄っぺらさで驚かされる。かろうじてのドラマの綾らしきものは、主人公カップルのやりとりにあり、彼女が妊娠していることがラストへと繋がるポイントとなっているところ、これくらいだろうか。まあそれすらも不要であるとする意見もあろうし、確かにこの映画に期待する多くの観客にとってはどうでもよい部分ではあるのかもしれないが、私としてはVFXが見どころなのは当たり前の話なので、それプラスの何か、というものをどうしても見たいと思ってしまうのだった。

簡単に人類が滅亡していくさまは作り手の心のこもって無さも相まって、非常に殺伐とした雰囲気満点。そんな薄ら寒さの一方で、反撃する戦闘機とか接近戦を挑むしかない兵隊さんたちに燃えるものを感じたのも事実であり、全く面白みがない映画というわけでもなかったことを考えれば『AVP2』よりは多少マシな映画だったのかな、と思わぬこともない、そんな出来栄え。

1000万ドルの予算で6000万ドル以上稼いでるんだから、大儲けなんだろうなあ。しかも一種の自主映画だし。懐に入るのはかなりのものじゃないのかな。そりゃあんなマンションにも住めるだろうなあ。