眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

サブウェイ・パニック 感想

監督はジョセフ・サージェント。1974年のアメリカ映画。

いまどきLB収録のDVDなんて考えられない酷い仕様である。もっとちゃんとしたものを出し直せ、とメーカーには言いたいところだ。そんな不満を冒頭から抱えながら見始めるものの、やがてその不満をすっかり忘れるほどにのめり込むようにして見入ってしまうのが映画の魔術というものである。

おそらく30年近くまえに月曜ロードショーで見たはず。ラストの幕切れにあっと思わされたもので、その鮮やかさはずっと印象に残り続けていた。再見してみると、ウォルター・マッソーを起用したことによるどこかとぼけた雰囲気、反面ロバート・ショウ率いる犯罪チームの緊迫した描写とのバランスの巧みさが相乗効果となって見応えのあるドラマを生み出していて、恐れ入るのは、内面や心理を描かずとも、所謂、いい顔のオヤジを揃えて簡潔な描写に徹すればそれで充分に、クールな犯罪サスペンス映画が完成するということ。マーティン・バルサムのしょぼくれ具合など最高ではないか。それだけで彼の人生を簡単に想像出来る。その前提を生かした潔い作劇が素晴らしい。バルサムで始まってバルサムで終わるドラマの構造も、今となっては非常に律義な感じがする。正しい物語の作り方を改めて教えられる気がした。

それとラストのあれだが、今回見てみると、あのウォルター・マッソーの表情には鬼気迫るものを感じたのだが。物凄い顔過ぎる。ちょっと笑えないくらいで。笑いの要素を強く感じていたのは、吹替えで見ていたせいもあるのだろうか。あと、テーマ曲がメル・ギブソンの『ペイバック』のテーマと似ていると思うのだがこれは『ペイバック』公開時には話題になったのかな。いやどっちもかっこいいんだけども。

関係ないけど『ポセイドン・アドベンチャー』と『インデペンデンス・デイ』も似ていると思うんだがなあ。それと警察官役のジェリー・スティラーがベン・スティラーのお父さんということも始めて知った。