眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

「ちづかマップ」 感想

ちづかマップ』(衿沢世衣子/講談社)を読んだ。

街歩き、というのがこんなに世の中で面白がられるようになるなんて、とふと思う。『ぶらり途中下車の旅』しかり『ちい散歩』しかり『ブラタモリ』や『東京の散歩道』…加えて『美の壺』とか『酒場放浪記』とか、一見見過ごされているような、だけど味わい深いもの、また街の中の大衆の集まる飲み屋や食堂とかについてのもの。となると『孤独のグルメ』とか『散歩もの』とかもあるけれども、そういうものを全て、街歩き系としてまとめていいんじゃないかと思うのだが、少女マンガの体裁でありながらも『ちづかマップ』はまごうかたなくその中にある作品で、読み終えて街を歩きたくなるという気持ちにさせる以上、間違いなく力のあるものだ。

中村不折とか斉白石とか、知りませんでしたけれども、凄く興味がわいて、これはもういつの日か書道博物館に行かねばならんと誓わせるし、佐藤修悦さんの手になる修悦体もテレビで見たっきりだったが俄然惹かれるものを憶えるのだった。

漫画の中に修悦さんご本人が登場してくるのも思わぬサプライズ。漫画のキャラと実在の人物が遭遇するこの不思議な感覚も愉しい。ただ、絵がちょっと粗いよね。それが気になる。