眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

「外国映画 ハラハラドキドキ ぼくの500本」 感想

外国映画 ハラハラドキドキ ぼくの500本』(双葉十三郎/文春新書)。

幅広くハラハラドキドキさせる要素が主体の500本を択んでみた、と最初にあるように、実にバラエティに富んだ内容である。しかしいくらハラハラドキドキと言っても、驚くのはここに紹介されている作品の選択眼であろう。姉妹編として『外国映画ぼくの500本』とか『ミュージカル500本』とか『愛の映画500本』とかもあるので、それらとのダブりを避けた結果とも言えるのだろうが(他のは読んでいません)、それにしても…。『アトランチスの謎』『ジャガーNO.1』『死霊伝説』『スパイダーマン』(E・W・スワックハマーの方)『テロリスト・ゲーム』『バーチャル・ウォーズ』『パシフィック・ハイツ』『燃える昆虫軍団』『ランページ裁かれた狂気』『リコシェ』『ロシアン・ルーレット』(ニコラス・メイヤーの方)…。どうです、よっぽど物好きでない限り、思いだすこともそうはない映画ばかりだと思いませんか。これは一例であり、他にも、えっ、あえてそれを択びますか…というもの多数。まさかクリスチャン・デュゲイの『ライブ・ワイヤー』なんかが取り上げられているなんてなあ。なんかやたら爆発していた記憶しかないけど…。

でもこれは双葉先生のスタンス的には何もおかしくないんだろう。公開当時は多少評判が良かったりしても、よっぽどのものでない限り忘れられてしまうのである。それを実感するのは、全く知らない映画が沢山紹介されているから。そういう映画がここにはゴロゴロ登場する。『影なき恐怖』『消えた拳銃』『36時間』『空と海の間に』『ダイヤモンド作戦』『盗みのテクニック』『裸で狼の群れのなかに』『春風と百万紙幣』…。まあ知っている人は知っているんでしょうけれど。『燃える昆虫軍団』も『ライブ・ワイヤー』もそれらと同じようなものじゃないのかと思うわけです。ちょっと面白いけれどそういうものはどんどん消えて行く。だから今となっては誰も知らない映画が紹介されているだけのようにみえる…。アメリカ辺りではどうか判らないが、おそらく日本ではまともな形で再見する機会はほぼないだろう。昨年、町山智浩が『トラウマ映画館』で紹介した作品のいくつか(『不意打ち』も取り上げられている。単に皆忘れていた、憶えていなかった、忘れられた映画だったというだけのことだったのだ)はWOWOWで放送されたり今度DVDも発売されたりするようだが、そういうバックアップがない限り、見ることは叶わない。そう考えると能天気に笑ってばかりもいられない。が、一方で所詮映画なんて消費されていくもの、そういう宿命のもとにあるものだという言い方も出来るわけで、そうなるとにわかに、もっと大事に映画を見よう、という気持ちになってくる。DVDやらテレビやらのおかげで、また見る機会があるだろうと思ってしまいがちだが、本当は映画との出会いは一期一会なのだ、と肝に銘じておけ、ということだ。



公開されるかどうか不安でしたが、無事に『REC3 ジェネシス』の邦題で上映が決まりましたな。大阪は5月12日からTOHOシネマズなんば。公開から333日間、1000円キャンペーン!ということはつまり前売券の発売もなく、一律1000円で見られるということなのか。太っ腹というかやけっぱちな姿勢が素晴らしいです。