眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

4月23日(月)の日記


バトルシップ』 於:アポロシネマ8

監督はピーター・バーグ

宇宙人の地球侵略という形を取った戦争映画。ということでは『世界侵略』があったけれど、こちらは同じ戦争映画でも『ナバロンの要塞』とか『眼下の敵』とかもっと娯楽性の強いそれ、という感じ。

主人公のテイラー・キッチュアメリカ明朗青春映画の典型のようなダメっぷりが、映画の前半ではゆっくりと描かれており、恋人であるブルックリン・デッカーとのやりとりや、海上自衛隊浅野忠信に対するライバル意識むき出しの関係とか、今までに何度も見て来たような場面が展開するので、なんか違う映画を見てる?と疑問に思ったりする瞬間もある。そんな、実力はあるけれど行動があまりにも軽率すぎるという欠点をかかえた主人公が戦いの中で、おれがおれが、と前に出ず、一歩引いて相手に接することを学び、それによって本当の力を発揮するようになる、という成長物語。何と言うこともないお話だが、主人公を演じるテイラー・キッチュにはいい意味でのボンクラぽさがあり(元々、育ちのいいバカ、みたいな憎め無さを備えているんだろう)、だからやってることは、本当は兄貴のアレキサンダー・スカルスガルドリーアム・ニーソン提督だけでなく、観客も怒っていいとは思うのだが、どうにも憎めないところがある。こういう人は得だ。

しかし映画としての面白さは宇宙人との海洋上での戦闘というところにある。市街戦でも空中戦でもなく、海戦というのが最近にない目のつけどころ。それも旧い時代ではなく、SFとはいえ現代の、しかも実在する戦艦が戦うとなればこれは興奮するなといっても無理。こういうところは本当にハリウッド映画は凄いなあ。

津波ブイをレーダー代わりに使う作戦がオリジナルのゲームを意識したような展開なのも面白い。その指揮を取るのが浅野忠信だというのも嬉しい。後半は意外な面々が事態にかかわって熱いドラマが展開し、こういうの皆好きだろ?と言われているようで、いやまったくそうでございますね、というしかない。ロートル大活躍な『RED』の脚本家コンビだからか、ここでも大先輩たちへの敬意が炸裂するクライマックス。『王の帰還』を真似したかのような、人は死ぬ、確実に死ぬ、だがそれは今日ではない!という台詞も泣かせるね。キッチュにこんなこと言われるとは。とにかくでっかいものがぶつかって爆発して大音響で、という映画館で観るためにあるような映画。こういう明朗かつ痛快な映画ってのはなかなかありそうでないものなんですよ。

出来れば小学生、中学生男子はこういった作品で、映画デビューしてもらいたい。平日の午前中に観てしまったのでまるで子どもがいなかったんだけど、休日にはいるんだろうか?最近、映画館に子どもがいないんだよなあ。勿論、子供向けの映画にはいますよ当たり前だけど。そうじゃなくて、普通の娯楽映画に、だ。ミニシアター系の劇場に若者はいなくなった。若者や子供は本当に映画を観なくなっているのではないかと不安になるな。『バトルシップ』はもっと子どもにアピールすべし!