眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

6月2日(土)の日記


REC/レック3 ジェネシス』 於:TOHOシネマズなんば・別館

監督はパコ・プラサ。2012年のスペイン映画。

シリーズ第3弾。ジャウマ・バラゲロが今回は外れ(4作目を監督)、プラサ単独の監督作品。微妙に映画のテイストが違っている。監督の個性というよりも、脚本にルイス・ベルデホが参加していることが大きいのではないか。ベルデホは1作目にも参加しているのだが、それよりも『スパニッシュ・ホラー・プロジェクト』でプラサが監督した『クリスマス・テイル』の脚本を書いているということ。どこかとぼけた味わいがあったあの作品と、今回の3作目の、キャラクターたちの間抜けさ(とその裏返しのような残酷さ)は共通するんじゃないかと思う。映画自体はシリアスなものなのだが、間違った息の抜き方というか、ここはそんな変な笑いを入れる必要あるのかなとか、そこまで過剰に反応しなくてもいいんじゃないかとか、そんな歪さを感じさせる。そこが面白かった。この作品でいえば、新郎の友人の絶妙な軽さとか、スポンジ・ジョンとか、甲冑を着てゾンビの中を行くとか、といったシーンで、明らかに前2作とは見せ方が違っていて、POV形式をやめたことよりも、『レック』シリーズとしてはこっちの違和感の方が個人的には大きかった。それがダメ、というわけでは勿論ないが。次はバラゲロだから、大真面目なものになりそう。

POVをやめることに関しては、やめますよ!という気合を感じる。タイトルが出るまでがPOV、カメラが壊れた→タイトル→普通の劇映画…という流れ。カメラが使用不能になってしまうからPOVにならないのだ。適当にやめたのではなく、そこのところに意識的であることが嬉しいではないかと思った。POVをやめたことには否定的な意見も多いけれど、個人的にはもう飽きてしまった。『グレイヴ・エンカウンターズ』とか予告だけでお腹いっぱい状態。見れば面白いのかもしれないけれど、そこまでの気力が湧かない…。

以降は普通のゾンビ映画になるので、ゾンビ映画好きには取りたててどうこういう内容ではなくなるが、2作目で浮上するオカルト趣味が描かれているのがゾンビ映画としては異色な感じ。鏡に映るゾンビが、ズルズルパンツというかおむつというかをした、あの恐ろしい怪物の姿なのも、前作を見ている人間には愉しめるポイント。なんとなく描かれたある人物が終盤で重要な局面をもたらすところなども、なんと!という楽しさ。普通のゾンビ映画とは書いたけれど、お金もちゃんとかかっているし(とはいえ低予算だろうが)、雰囲気や演出は申し分ない。少なくとも、怖い映画を見たいというのなら、『貞子3D』よりこっちを観た方がいいんじゃないかと思うけど。1000円だし。