11月29日(木)の日記
『なりひらばし電器商店(1)』(岩岡ヒサエ/講談社)を読む。
東京スカイツリーが出来たときに30歳だった女性がおばあさんになっているくらいの未来。大学進学で東京に出て来た主人公・森初音は、祖母の営む家電製品のリースのお店の手伝いをするはめになり、職人さんや個性の強過ぎる人と触れあうことで何かを学んでいく…というお話。仕事についての物語でもあり、働く人たちへの尊敬の念が物語を支える力となるのは、人生について前向きな『土星マンション』同様で、それが岩岡作品の一番の素晴らしさだろう。そしてなによりも、今とさほど変わらない風景のようでありながら、エコロジカルなリサイクルが徹底された未来社会であるというSFとしての面白さもあるし、ハイテクノロジーな世界であるはずなのに、描かれる世界は非常にアナログな、身の回り3メートル圏内的な日常生活というのもいい。この作品の姿勢や佇まいは、本屋さんだけでなく、雑貨屋やカフェにも合いそうだ。出版社はそういう系統のお店にも営業をかけたらいいんじゃないでしょうか。
- 作者: 岩岡ヒサエ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/11/22
- メディア: コミック
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