眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

12月1日(土)の日記

今日は映画の日で(毎月1日のサービスデーではなくて)映画は1000円。ということで『人生の特等席』を観る。

定石に(というか基本というか)沿った展開をする父と娘のドラマ。老いていくことの不安や恐怖にはほとんど接近せず、それらを笑いで包んだ作劇で見せて行くのは如何にもアメリカ映画らしく、安心して、しかも愉しんで観た。ご都合主義とか安易だとか言うのは簡単だが、この世の映画がご都合主義や安易に流れないものばかりだったら息が詰まって仕方がない。監督はこれが初メガホンらしいがそつなく的確、撮影や編集はイーストウッド映画の古参が締めているのでブレることなく、肩の力を抜いた映画として充分にお釣りがくる。終盤で明かされるある部分に関してだけ、いきなりイーストウッドらしい暗闇が出現するのが逆に驚き。がそれをきれいに忘れたかのように背中を見せて退場するイーストウッドには、いつもの闇はまるで感じられず、ゆえに心地よい後味になっているのだろう。他の俳優たちも好演、ジャスティン・ティンバーレイクのいい意味での軽みも素敵。脇の渋いオヤジ連中もカッコよく、マシュー・リラードもいつものマシュー・リラードで、あるべき位置にきれいにおさまる楽しさがある。