眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

12月2日(日)の日記

昨日は『悪の経典』も観た。30〜40人くらいの人間がバタバタと猟銃でぶち殺されていくクライマックスがなかなか壮観。生徒たちは、伊藤英明に対してなすすべもなく追いつめれられ、宴の生贄になるだけ。敵と味方の攻防といったゲーム性を排し、ただただ殺戮が繰り広げられるのが素晴らしい。快楽殺人者ではなく、自分の人生に邪魔になる人間を排除するという明快な論理(と言っても充分おかしいが)を抱えた人間の取る行動、というのは一種のピカレスクロマンのようで、よく目にするサイコサスペンスとはちょっと違う味わい。クロード・シャブロルの『沈黙の女』を観ながら思い出していた。なので、妙に幻想的というかファンタジー風味あふれる感じで撮られている過去の、他のおかしい人との共同作業の様子や、その人がそばにいるかのような描写が蛇足に思える。徹底して冷徹であってもよかったのではと。強いて言えば、うすら寒さがほしい。娯楽性が強過ぎるという変な不満をおぼえた。映画としての面白さは、伊藤英明を変だと思っている3人の生徒と一人の教師が徐々に核心に近づいて行く方にあり、しかしそれが中途で断絶されてしまう寸止め具合が良い感じ。ワンクッションを置いて、クライマックスに移るという作りも面白かった。あと特筆すべきは山田孝之。女生徒にセクハラする淫行教師。そのサディスティックなふるまい。ドラム叩いて生徒に絶賛されて気分が良くなって、ジュースでも飲めよと小銭をやる小物っぽさの、でも嬉しそうな顔。そして死ぬ場面が素晴らしい。あんなギャグを最後に退場するなんて、なんて恵まれた仕事っぷりだろう。

古本で『東京の空の下オムレツのにおいはながれる』(石井好子暮しの手帖社)を買う。買ってから、しまったこれは続編の方だったと気付いたけれど、まあいいや。暮しの手帖社らしい装丁が素敵。のんびりと読もう。