眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

「LOOPER/ルーパー」 1月19日(土)の日記

アポロシネマ8で『LOOPER/ルーパー』を見る。

監督のライアン・ジョンソンという名前に全く意識しないままだったが『BRICK』の監督であったか。そうか。と一応確認したものの、映画としては正直微妙な味わいであった。SFでありつつも意匠としてはどこか昔のフィルムノワール的な雰囲気も湛えたタッチは序盤、なかなか良いではないかと思っていたのだが、本筋に移り出すと、意外と印象の薄い主人公が一体何をしたいのかがよく判らず、罪のない子供までぶち殺す未来から来た自分、という存在には到底肩入れ出来ず、母に捨てられた過去だとか、それを引きずった上で何を選択するのかとか、テーマに触れる部分には、映像としても意味深長に描写を重ねる割に、肝心のドラマ自体があまりにも平板すぎる。平凡すぎる、という方がいいのか。後半、特殊な能力をめぐる話になっていくのは、もともとの話とは全く関係がない。超能力は別にこの物語に必要ないだろう。そういうことと映画の面白さとは直接関係してこない。難しいものだ。ただ、逃げる子供とその母親を追いかけてくる頭のおかしい男、というワンカットが、白昼に展開する場面には、まさに白昼夢的な恐ろしさがあったな。田舎の風景ののどかな中で、誰も助けに来てくれないだだっ広さの中で、それがシネスコの横長の画面の中で描かれる。良いカットだった。