眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

「ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝」をみる

ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝』をTOHOシネマズなんばで。

香港系娯楽映画が続々と公開されて嬉しい年末年始。いよいよ真打、大御所ツイ・ハークの作品である。個人的には『王朝の陰謀』を結局見損ねているので久々。また大手シネコンでの公開というのも珍しい。というかむしろ快挙、と言っていいのかもしれない。しかもちゃんと3Dでの上映である。これは愉しみにしない方が嘘だろう。

と思っていたのだが、3Dはやっぱり性に合わず(映画自体の責任ではない。眼が疲れるから)、映画の前半は正直言ってかなり辛い思いをしながら見てしまった。3D効果を考えてだと思うが、アクションの激しいところをちょっとスローにしてみたり、あまりカットを多く重ねないようにしたりと工夫がされてはいるものの、ツイ・ハーク映画の矢継ぎ早な感じが失われてしまっており、3Dアクションの限界を見るような気持ちに。冒頭はジェット・リーリュウ・チャーフィーの対決という横綱相撲なのだが、そのせいでかいまいち動きにキレがないという印象も。動きの少ないところは立体感もいいんだけど…。またデジタルの弊害かそれとも香港映画特有のコマ落とし的表現なのか、アクションシーンで残像が気になるような場面が何度もあって気持ちが削がれてしまったりして、これは辛いな…と思っていたのだが、中盤、宿に話が移って役者が揃いだすと、途端に面白くなってきた。一か所に人間がたくさん集まって策謀の限りを尽くして挙句に大乱戦、というツイ・ハーク映画のひとつのパターンそのものなのがなんとも嬉しく、あの手この手と見せ場とドラマを盛り込む趣向の相変わらずさ、衰えぬ娯楽映画魂に感服。実は…実は…の連続でもあって、これがまた楽しい。キャラクターが薄いとも言われるが、俳優たちもそれぞれにきちんと演じているのは勿論のこと、外見で全て語ってしまうところが武侠片や古装片の楽しさ面白さでもある。個人的にはこれで充分。後半の財宝が隠された城の出現や、その中での戦いも派手な見せ場で盛り上がる。得体のしれない武器が色々出てくるのもワクワクさせる。『逃亡者おりん』の手鎖なんてまだまだ可愛いものだよ!ジェット・リーが主役なのにあまり出番がないという致命的な作劇上の失敗もあるのだが、まあそれはそれとしても、手間を惜しまぬ娯楽映画精神と、中国パワーの圧倒的な強さが合致した作品だった。

ジョウ・シュンはブリジット・リンを思わせる男装の麗人ぶり、チェン・クンの見事な二役、韃靼人メイクがかっこいいグイ・ルンメイなど、俳優たちの芝居も見どころ。ジェット・リーはもはや貫録の芝居っぷり。素晴らしい。