「シャーロッキアン!」第1巻、第2巻 1月23日(水)の日記
『シャーロッキアン!』(池田邦彦/双葉社)の1巻と2巻を読む。
絵柄の感じから、ほのぼのとした作品だろうと思って読み始めたら予想外…。車教授と教え子の愛里が出会うさまざまな出来事を、シャーロック・ホームズの活躍をヒントに解決していくミステリ。原典(聖典とでもいうか)の謎にも切り込み、作者ならではの独自の推論がなされるあたりは、ホームズファン的にはたまらないのではないか、と思われる。
が、死が関わる話が多く、単純にほのぼのなんてしていられない。どれもが、いい話、として収斂されていくのはよろしいのだが、病気や戦争などで命を断たれた人たちの物語が丁寧に描かれていく様子は丁寧に描かれるからこそひしひしと胸を打つし、動揺ももたらす。なんていうのか、段々と死について、他人事ではない現実をひしひしと感じるようになってきたのです。年のせいもあるし、色んな事情もあるし…。読みながらおろおろしてしまい、電車で読んでいるときなど、動揺して最寄駅よりひとつ手前で降りてしまったりして、心穏やかな気持ちで読める作品ではなかったのが予想外だったのです。主人公ふたりの心が次第に寄りそいつつも、亡き妻の影が教授にはついて離れることはなく、そのために、あまり仲良くするのはやめよう…という葛藤もミステリと並んでドラマの大きな軸となり、これはこれでまたハラハラさせられる。とても良い作品。ただ絵がちょっとね、これは雑、と言っていいのでしょうか?それだけがちょっとな。
- 作者: 池田邦彦
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2011/02/28
- メディア: コミック
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