『うどんの女』(えすとえむ/祥伝社)を読む
面白かった。心のうちで、「こういう場合はこんなふうな誘いがあったりして…」などと妄想をふくらませる前半が可笑しい。35歳の女性と21歳の大学生の距離感が微妙でよろしく、淡々としつつも滲みだすエロティックさもよろしく…。
うどんが媒介する恋模様…。うどんが好きだという想い、うどんを食べるという行為の先には相手への恋慕があるのがエロいんだけど、キノくんの恩師である田中先生も、うどんが好きでうどん食べるんだよね。キノくんにとってのうどんは村田さんだけど、田中先生の場合は…。両方なのかもしれない…と、作者がBLものを描いているせいでそう思ってしまうのだろうか。
ほぼ、主人公ふたりだけのやりとりしか描かれない。脇役といえるのは田中先生だけで、あとはその他大勢にしか過ぎないシンプルさ。それこそ、劇中の素うどんのごとく。うまいうどんがあればそれだけでいい(ネギもてんぷらもいらない)、というのなら、いい感じのふたりさえいれば、あとはもう何も描く必要はない、というところだろうか。シンプルさの美しさをみる思いがする。
- 作者: えすとえむ
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2011/09/08
- メディア: コミック
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