『正太郎名画館』(池波正太郎/河出書房新社)をよむ
生誕90年だそうですね。もしも病気やけがをせず、健康に暮らしていればまだご存命だったかもしれない。それにしても1990年永眠だったとは。67歳ですよ。早すぎるよ…。
小説現代に連載していた『池波正太郎の映画日記』はそのときそのときで書籍化されているようで、これらを一冊にまとめようとした、ということなのだろうか。個人的には未読の文章なのでわくわくして読んだ。頁数が限られていることもあってか、映画の肝を見極めて非常に簡潔に書かれているのが気持ち良い。これくらいの世代の方たちだと、例えば、ちょっと出来のよいB級映画をやたらとほめそやすようなことはせず、そういうレベルの中で面白い、と言い放つ。今の目からすれば、少々乱暴なようにも思えるが、そういうふうに切って捨てることが普通に出来た世代へのあこがれみたいなものがわたしにはあるな。色んな映画をサクサクとみて、食事をして帰るというスタイルがなんともかっこ良い。いわゆる名作的なものは勿論だが、一方で『オルカ』や『トランザム7000』や『スウォーム』や『原子力潜水艦浮上せず』などを愉しんでみておられる様子がなんとも微笑ましいし、素晴らしい。双葉十三郎にしてもそうだけど、しゃれっ気というか、目くじら立てない粋な感じがあって、そういうところを目指したいものである。
- 作者: 池波正太郎
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2013/04/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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