眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

『ホームランド』をみる

2011年のアメリカのテレビドラマ。

Dlifeで録画したものをちまちまみて、やっと終了。

8年ぶりに救出されて、イラクから帰還したアメリ海兵隊のブロディ軍曹。皆、彼を英雄として扱う中、内通者からアルカイダに寝返ったアメリカ人がいるという情報を手にしたCIAのキャリーは、彼こそがその裏切り者ではないのか、と本土へのテロ攻撃阻止のため、彼の周囲を包囲しようとするが…。

次々に何かが起こり、謎が謎を呼び、目まぐるしく話が展開して…といった、いわゆるノンストップ系のサスペンスものとはまったく違っていた。主役となるのは、キャリー(クレア・デインズ)とブロディ軍曹(ダミアン・ルイス)だが、彼らの葛藤は勿論のこと、キャリーの恩師ソール(マンディ・パティンキン)の抱える夫婦の問題、ブロディと妻・ジェシカ(モリーナ・バッカリン↑)の関係、ジェシカと付き合いのあるマイク、ブロディと娘・息子との関係…など、彼らの人生模様も描き込まれる。加えて、空港近くの家に住むアラブ系の大学助教授と白人の妻の夫婦、キャリーの情報提供者、といった主筋であるサスペンスを進めるために登場する人物たちの描写も手ぬかりなく、ということはつまり、サスペンスを主軸としながらも、この一件にかかわってしまった人々の物語であるということで、しかもそれが、正義についての物語として収束していく。最終回に至っても宙ぶらりんな状態で、結論は出ないままだが、誰にとって、何にとっての正義なのか、という大きなテーマについてのドラマになる。後半のたたみかける展開は、それまでと打って変わったスピード感になり、さらに緊張を強いるサスペンスになっていく。キャリーの追い詰められ加減がまた容赦なく、演じるクレア・デインズの表情の凄まじさもあり、居心地の悪さはいたたまれないほど。そりゃあんな決断を下したくもなろう。

ということで、Dlifeにはさっさとシーズン2を放送してくださいとお願いする次第です。