眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

『第七女子会彷徨』3巻と4巻をよむ

つばな・著(徳間書店)

発想の素晴らしさに圧倒されるのが常ですが、やはり凄い。3巻の第24話「目には見えないもの?」は、高木さんの顔の左側に浮かんでいる何か…その正体とは、という話など、なんでそれが実体として見えてるの?という理由はわからないけれども、そんなものがみえている、外に出ているという発想というか、奇想に驚く。それに、それ自体が持っている可笑しみもあるので、ギャグになっているという凄さ。第26話「地下鉄の恐怖」では、何キロにもわたって生じた地割れを渡ろうと地下鉄に入り込んだ、金やんと高木さんと坪井さんが出くわす、地割れの正体…という話では、天井にびっしり張りつめたアレ、というのがまた、はあ〜と思えるもの。作品通してのテーマに、孤独、というのがあって、特に高木さんはそれに敏感に反応するのだが、がさつそうな彼女の意外な繊細さが描かれている第22話「高木さんの日曜日」もセンチメンタルな郷愁にさそわれる好編、第30話「ジプシーキングス」(なんというタイトルのつけかたか!)は更にどうしてそんな女子になったのかが語られる。あとは第28話「冬のまぼろし」がよかった。ひとコマが放つインパクトの強烈さが素晴らしい。あっち側を感じるだけではなくて、その世界に落ちてしまった人(?)たちの存在がいるという、現実とあちらとの皮膜が溶けてしまう感覚が、不気味であり、奇妙なユーモアであり、ああ、面白い漫画読んでるなあと実感するのだった。4巻では、第35話「魂のあり処」や、第36話「悠久の百円貯金」がセンチメンタルでありながらもSFとしての広がりを感じさせてよかった。SFの面白さには、時間と空間の超越、というのもあるけれど、これら2作はまさにそれで、切ないような温かいような、複雑な後味がありますね。第31話「生き人形」や第32話「山のお寺の鐘が鳴る」のような、メインとなるはずの謎や展開とは、違うところに話のオチがあるものもあるけれども、こういう話は、いい意味で肩すかしなところがあって、語り手の巧者ぶりを感じますね。素朴でキュートな絵柄からイメージされるものに反しての、想像以上の奇想が素晴らしい作品だと思いますね。