眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

思い出のマーニー(2014)

監督は米林宏昌
あべのアポロシネマで。
ジブリアニメは、とにかくたくさんの感想がネット上にあがっているので、それを読んでいるのが愉しい。読んでいるうちに、もう自分では感想書かなくていいかあ、と思ってしまうのが常ですが、ちょろっとだけ書いておこうかと。

杏奈は自意識の高い少女でちょっと扱いづらいところがある。ところが、そんな少女を、皆が赦すんですよ。育ての親、北海道のおじさんおばさん、そしてマーニー。彼らは、杏奈を決して怒らないし、非難しない。ただ、それぞれが、それぞれの形で、杏奈を見守り、彼女の怒りと悲しみに満ちた心と行いを赦している。世界は敵であり自分を拒絶していると思っているけれど、とっくの昔から世界に受け入れられている。だから、杏奈は生きている。杏奈が、自分は赦されている、と知る物語でもあると思いました。赦されていると知ると、自分も赦す側へと進む。それが新たなる一歩なのだと。ラストの太っちょの対応なんてまさにそうですよね。理想に過ぎるかもしれないけれど、美しい話、美しい志を抱えている映画だと思います。暗喩、暗示的な描写を散りばめて、現実と幻想の狭間を行き来する、正統派のファンタジーでもあり、生と死の曖昧さで揺れるという点でも、やはり宮崎駿の直系と言う感じですな。いい映画でした。

あと十一さんね。最後でぼそっと言う言葉に、秘めたる物語がきっとあるのだろう、と思うとグッときましたよ。

でも、子供は面白くないんじゃないかな、と思ったな。派手な見せ場はほとんどないし。たぶん、小さい子供には難しい。ジブリアニメは、よく噛まないと味が判らないようなところもあるので。今回は小学校高学年以上向き、でしょうかね。