眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

X-ファイル・シーズン1〜第4話「導管」

UFOのメッカ(最近こういう言い方しないね)オカボジ湖でキャンプ中だった母子連れ。突然の激しい光と共に長女が消えてしまった。母はまだ若かった頃、この湖でUFOを目撃したことがあった。興味をおぼえたモルダーは無理矢理出張。消えた長女の行方を捜す。元々、素行がよくなかったこともあり、警察もろくに捜査はしていなかった。事件後、長男は、砂の嵐(これも言わないね。デジタル放送には砂の嵐はないんだっけ)状態のテレビから送られてくるというメッセージに従い、紙に0と1のランダムにみえる数字を延々書き連ねていくが、実はそれが国家機密に抵触する疑いがあるほどの内容で、国家安全保障省みたいなところから横槍が入る。情報漏洩か、スパイか。果たして長女の行方は、そしてUFOは存在するのか。
UFOが存在することは、第2話で言いきっているので、そこにサスペンスはないんですよ。導管として、何者かからのメッセージを受け取る役目を背負わされた長男の書きだした数字、というところがドラマとしては面白味のあるところで、特に、意味の判らない何枚もの紙を、二階にあがったところから見下ろすと長女の(姉の)顔になる、という、たぶんここをやりたかったんだろうな、と思われますな。インパクトの非常に強い、これは名シーンではなかろうかと。無事に帰って来た長女は、このことは話すなと言われたといい(誰に…?)、親ももうこの件に触れてくれるなという。本当のことを話しても何にもならないと。物語としては大変地味というか、特にこれ、ということも起きないのだが(普通の刑事ドラマみたいなことは起きる)、モルダーの、妹を失ったことの喪失感と後悔が、如何に彼を苦しめ続けているか、ということが、じわりと描かれていて、それが興味を引くところでしょうか。どうして彼が、ここまでUFO絡みの事件に必死になるのか。ラスト、教会でひとり椅子に座りこみ、嗚咽をもらすモルダーの姿に、催眠治療のテープの音声が被る。妹をさらった者たちは、「危害は加えない、いつか必ず返すから」といっていた、と…。やるせなくなるな。