眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

リバースエッジ 大川端探偵社 FILE.07 「夏の雪女」

20年前、三日間だけ一緒に過ごした女性を探して欲しい、という依頼。冴えない人生を送って来た男にとっては、最高にしあわせな時間であったその過去は今、彼にどんな意味をもたらすのか…。

明かされる真相は、なんとも安っぽいものである。ちんけなプライドと隷従する陶酔。刹那的な、小手先の感情と行動。それに釣り込まれた、間抜けな男。全てが安い。しかし、薄っぺらい安い過去が、心の一部にいつまでも引っかかっている。男と女、双方に。この話しもまた、長い時間をかけての、青春との決別である。ただし単純に、過去から解放されることを、決別としていないところがいい。むしろ、過去を取り込むことで前に進む、という感じ。だからこそ、命令される女が連れられてゆく先は…。それが幸福なことかどうか。だが、そうであってほしいと思わせるラストであった。
卵にからめた話しの進め方も面白かった。殻を破れと言われていたこと、だからそれを食らってやろうとしたこと(すき焼きで卵を6個食べる)、ベテラン女優が食べていたエッグベネディクト(かね?)。今と昔の、女優二人の顔の形(丸い)、卵の白、白いワンピース、白いコートにスカート、雪。そして、どろりとした感触の(食感の)官能性。
それにしても、このドラマはいい。全部観終わるのが惜しい。